人間国宝 野村四郎さんにお会いして

野村四郎さんの経歴・お人柄

9月最初の連休。大本山護国寺にて観世流シテ方能楽師で人間国宝の野村四郎さんの講演会がありました。

「まずは野村さんの佇まい・人間性に触れてください」との㈱シマーズの島津社長からのご挨拶。そのとおり直接お目にかかるだけで、感じ取れるものがたくさんありました。

すっくとした躯体。漂う高い品性。そして何より謙虚で気さくなお人柄。
「本当に一流の人は謙虚で人間らしい」という言葉のその通りでした。

もともと狂言の家元の四男としてご出生された野村さん。
ご自身の幼少期・青年期のお話、能との馴れ初めと修行時代、仏教と能、日本人の美意識についてお話下さり、最後は何と謳の稽古までつけてくださいました。

青年期はイタリア映画や海外文学に関心があったり、キリスト教にも関心があって洗礼を受けようと思ったことがあるそうで、古典芸能の世界に生まれながら、若いころから外に開かれたマインドの持ち主でおられたようです

印象に残った言葉と日本人の美意識

・「日本人は剥き出しを嫌う。そういう美意識を持っている」とおっしゃられていたけど、私もこれは大きく共感。

日本でもオープンマインドでポジティブがよいという風潮がはびこっているけど、日本人のもともとの心持ちとは違う気がする。
人間の心は明るく前進的な部分だけで成り立っている訳ではないし、すべてが明らかなことがよいことでもないので、暗・陰・狂・鬼もテーマとする能(に限らず古典作品)は人間の本質を突いていると思う。

あとは、
・声というのは魂、言霊。声にのせた魂はどこまでも届いていく。
・茶道でも能でも「一座建立」。お客さんとの心の通い合いを大事にしている。
などは印象に残りました。

 

それにしても約二時間、80歳という御年にも関わらず、お話を聞かせてくださって、本当に有難い限りです。
お疲れの様子も見せず、そこにも「見苦しいところは人様には見せない」という美意識・心意気を感じました。

あと、どのくらいの人が気が付いていたかな。。
野村さんはかなりお耳が遠くなっているらしく、最初の質疑応答ではマイクであっても声がなかなか届かなかったんですね。その最初の質問の後、謳の稽古まで、ずっとお能のお話をされてました。質疑応答の時間が20分ほどはあってにも関わらず。

あれ?質疑応答の時間では?と思った人もいると思うけど、私はそれを、「見苦しいところを見せない」という野村さんの姿勢だと受け取りました。
そこにも日本人の美意識・心意気を感じました。

昭和の時代の教育者はこういう心構えがあったと思し、私もそれを受け継ぎたいと思っています。

そして、、なんと野村さんが自らがお稽古をつけておられる機会があるとのこと。。
若い人が中心らしいですが、今回の参加者もどうぞ、とのことなので、お稽古をつけて頂きたい気持ちでいっぱいです

 

 

 

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リリコ
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