秋元紀子さんの朗読を聴いた夜

週末は女優でお師匠でもある、秋元紀子さんの朗読会に行ってきました。

30分+60分の独り語り。
ひとつは安房直子「黄色のスカーフ」。もうひとつは角田光代「口紅のとき」。

どの年代の心境もようやく想像ができるようになった今日この頃。
自分の、母の、そして市井に生きるひとりの女性の人生に想いを馳せてみました。

秋元紀子さん ひとり語り

スカーフと口紅、どっちが好き?

「黄色のスカーフ」は、独りのお婆さんが少女時代のお気に入りのスカーフを身につけると、そのスカーフが魔法のように口をきき、少女時代の想い出と時空を行き来するという一種のファンタジー。
そして「口紅のとき」は、口紅をとおして、ひとりの女性の6歳から79歳までの生きた風景を描き出したエッセイ風の物語。

この二つの物語を聞きながら、意外にも自分には口紅というキーワードで惹き起こされる風景が少ないんだなあ、ということに気づきました。
多分、自分が「装う」ということに関心が低いせいかも。
女性ということを全面に押し出してくる人が苦手ということも、きっと関連する何かあるのかもしれません。

どちらかというとファンタジー的な要素の強い「黄色のスカーフ」のほうが物語の中に入り込んで、自分の子供の頃を重ねることができました。
だってスカーフというのは色も質感も使い方も変化自在。
帽子になったりテーブルクロスになったり。物語であれば魔法の絨毯にもなれる。想像力も働くというものです。

声で聴く物語

そして、やはり秋元さんはすごい!
見ているとその世界に惹き込まれ、少女も男性もお婆さんも、眼の前に生き生きとその姿が浮かんで、終わった後まるで自分が人生をひとつ生き切ったかのような清々しさもありました。

朗読っていいなー。物語は声できくと、絶対身体で憶えるし、イメージもどんどん湧いてきます。

そういえば、アイルランドではまだ詩の朗読会が人気で、参加した友人が「ポテトを切る場面では、本当に切っている音が聴こえたんだよ」と言ってました。そういうのっていいですよね。

実はいま

朗読を少しずつ秋元先生に習いはじめているのです。
AIなどのテクノロジーが発展するのと対極的に、きっと「物語を語る」ということが人の心に必要になってくる。
そういう確信めいたものがあるからなのです。

それはなぜか。
今は自分でもよくわかってませんが。。

「物語とは何なのか」
時々、このブログでも取り上げつつ、探求していきたいと思っています。

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リリコ
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